行政書士法 第5章 行政書士法人
(設立)
第13条の3 行政書士は、この章の定めるところにより、行政書士法人(第1条の2及び第1条の3に規定する業務を組織的に行うことを目的として、行政書士が共同して設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができる。
(名称)
第13条の4 行政書士法人は、その名称中に行政書士法人という文字を使用しなければならない。
(社員の資格)
第13条の5 行政書士法人の社員は、行政書士でなければならない。
2 次に掲げる者は、社員となることができない。
1.第14条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
2.第14条の2第1項の規定により行政書士法人が解散又は業務の全部の停止の処分を受けた場合において、その処分を受けた日以前30日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から3年(業務の全部の停止の処分を受けた場合にあつては、当該業務の全部の停止の期間)を経過しないもの
(業務の範囲)
第13条の6 行政書士法人は、第1条の2及び第1条の3に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき行政書士が行うことができる業務のうちこれらの条に規定する業務に準ずるものとして総務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。ただし、当該総務省令で定める業務を行うことができる行政書士に関し法令上の制限がある場合における当該業務(以下「特定業務」という。)については、社員のうちに当該特定業務を行うことができる行政書士がある行政書士法人に限り、行うことができる。
(登記)
第13条の7 行政書士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(設立の手続)
第13条の8 行政書士法人を設立するには、その社員となろうとする行政書士が、共同して定款を定めなければならない。
2 会社法(平成17年法律第86号)第30条第1項の規定は、行政書士法人の定款について準用する。
3 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
1.目的
2.名称
3.主たる事務所及び従たる事務所の所在地
4.社員の氏名、住所及び特定業務を行うことを目的とする行政書士法人にあつては、当該特定業務を行うことができる行政書士である社員(以下「特定社員」という。)であるか否かの別
5.社員の出資に関する事項
(成立の時期)
第13条の9 行政書士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(成立の届出等)
第13条の10 行政書士法人は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会(以下「主たる事務所の所在地の行政書士会」という。)を経由して、日本行政書士会連合会に届け出なければならない。
2 日本行政書士会連合会は、その会則の定めるところにより、行政書士法人名簿を作成し、その事務所に備えて置かなければならない。
(定款の変更)
第13条の11 行政書士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によつて、定款の変更をすることができる。
2 行政書士法人は、定款を変更したときは、変更の日から2週間以内に、変更に係る事項を、主たる事務所の所在地の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に届け出なければならない。
(業務を執行する権限)
第13条の12 行政書士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。
2 特定業務を行うことを目的とする行政書士法人における当該特定業務については、前項の規定にかかわらず、当該特定業務に係る特定社員のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
(法人の代表)
第13条の13 行政書士法人の業務を執行する社員は、各自行政書士法人を代表する。ただし、定款又は総社員の同意によつて、業務を執行する社員のうち特に行政書士法人を代表すべきものを定めることを妨げない。
2 特定業務を行うことを目的とする行政書士法人における当該特定業務については、前項本文の規定にかかわらず、当該特定業務に係る特定社員のみが各自行政書士法人を代表する。ただし、当該特定社員の全員の同意によつて、当該特定社員のうち特に当該特定業務について行政書士法人を代表すべきものを定めることを妨げない。
(社員の常駐)
第13条の14 行政書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会の会員である社員を常駐させなければならない。
(特定業務の取扱い)
第13条の15 特定業務を行うことを目的とする行政書士法人は、当該特定業務に係る特定社員が常駐していない事務所においては、当該特定業務を取り扱うことができない。
(社員の競業の禁止)
第13条の16 行政書士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその行政書士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の行政書士法人の社員となつてはならない。
2 行政書士法人の社員が前項の規定に違反して自己又は第三者のためにその行政書士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員又は第三者が得た利益の額は、行政書士法人に生じた損害の額と推定する。
(行政書士の義務に関する規定の準用)
第13条の17 第8条第1項、第9条から第11条まで及び第13条の規定は、行政書士法人について準用する。
(法定脱退)
第13条の18 行政書士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
1.行政書士の登録の抹消
2.定款に定める理由の発生
3.総社員の同意
4.第13条の5第2項各号のいずれかに該当することとなつたこと。
5.除名
(解散)
第13条の19 行政書士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。
1.定款に定める理由の発生
2.総社員の同意
3.他の行政書士法人との合併
4.破産手続開始の決定
5.解散を命ずる裁判
6.第14条の2第1項第3号の規定による解散の処分
2 行政書士法人は、前項の規定による場合のほか、社員が1人になり、そのなつた日から引き続き6月間その社員が2人以上にならなかつた場合においても、その6月を経過した時に解散する。
3 行政書士法人は、第1項第3号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から2週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に届け出なければならない。
(合併)第13条の20 行政書士法人は、総社員の同意があるときは、他の行政書士法人と合併することができる。
2 合併は、合併後存続する行政書士法人又は合併により設立する行政書士法人が、その主たる事務所の所在地において登記することによつて、その効力を生ずる。
3 行政書士法人は、合併したときは、合併の日から2週間以内に、登記事項証明書(合併により設立する行政書士法人にあつては、登記事項証明書及び定款の写し)を添えて、その旨を、主たる事務所の所在地の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に届け出なければならない。
4 合併後存続する行政書士法人又は合併により設立する行政書士法人は、当該合併により消滅する行政書士法人の権利義務を承継する。
(債権者の異議等)
第13条の20の2 合併をする行政書士法人の債権者は、当該行政書士法人に対し、合併について異議を述べることができる。
2 合併をする行政書士法人は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第3号の期間は、1月を下ることができない。
1.合併をする旨
2.合併により消滅する行政書士法人及び合併後存続する行政書士法人又は合併により設立する行政書士法人の名称及び主たる事務所の所在地
3.債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、合併をする行政書士法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第6項において準用する会社法第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第2項第3号の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第2項第3号の期間内に異議を述べたときは、合併をする行政書士法人は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
6 会社法第939条第1項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)及び第3項、第940条第1項(第3号に係る部分に限る。)及び第3項、第941条、第946条、第947条、第951条第2項、第953条並びに第955条の規定は、行政書士法人が第2項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、同法第939条第1項及び第3項中「公告方法」とあるのは「合併の公告の方法」と、同法第946条第3項中「商号」とあるのは「名称」と読み替えるものとする。
(合併の無効の訴え)
第13条の20の3 会社法第828条第1項(第7号及び第8号に係る部分に限る。)及び第2項(第7号及び第8号に係る部分に限る。)、第834条(第7号及び第8号に係る部分に限る。)、第835条第1項、第836条第2項及び第3項、第837条から第839条まで、第843条(第1項第3号及び第4号並びに第2項ただし書を除く。)並びに第846条の規定は行政書士法人の合併の無効の訴えについて、同法第868条第5項、第870条(第15号に係る部分に限る。)、第871条本文、第872条(第4号に係る部分に限る。)、第873条本文、第875条及び第876条の規定はこの条において準用する同法第843条第4項の申立てについて、それぞれ準用する。
(民法及び会社法の準用等)
第13条の21 民法第50条並びに会社法第600条、第614条から第619条まで、第621条及び第622条の規定は行政書士法人について、民法第55条並びに会社法第580条第1項、第581条、第582条、第585条第1項及び第4項、第586条、第593条、第595条、第596条、第599条第4項及び第5項、第601条、第605条、第606条、第609条第1項及び第2項、第611条(第1項ただし書を除く。)、第612条並びに第613条の規定は行政書士法人の社員について、同法第589条第1項の規定は行政書士法人の社員であると誤認させる行為をした者の責任について、同法第859条から第862条までの規定は行政書士法人の社員の除名並びに業務を執行する権利及び代表権の消滅の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第613条中「商号」とあるのは「名称」と、同法第615条第1項、第617条第1項及び第2項並びに第618条第1項第2号中「法務省令」とあるのは「総務省令」と、同法第617条第3項中「電磁的記録」とあるのは「電磁的記録(行政書士法第1条の2第1項に規定する電磁的記録をいう。次条第1項第2号において同じ。)」と、同法第859条第2号中「第594条第1項(第598条第2項において準用する場合を含む。)」とあるのは「行政書士法第13条の16第1項」と読み替えるものとする。
2 民法第82条及び第83条、非訟事件手続法(明治31年法律第14号)第35条第2項及び第40条並びに会社法第644条(第3号を除く。)、第645条から第649条まで、第650条第1項及び第2項、第651条第1項及び第2項(同法第594条の準用に係る部分を除く。)、第652条、第653条、第655条から第659条まで、第662条から第664条まで、第666条から第673条まで、第675条、第863条、第864条、第868条第1項、第869条、第870条(第2号及び第3号に係る部分に限る。)、第871条、第872条(第4号に係る部分に限る。)、第874条(第1号及び第4号に係る部分に限る。)、第875条並びに第876条の規定は、行政書士法人の解散及び清算について準用する。この場合において、民法第83条中「主務官庁」とあるのは「日本行政書士会連合会」と、会社法第644条第1号中「第641条第5号」とあるのは「行政書士法第13条の19第1項第3号」と、同法第647条第3項中「第641条第4号又は第7号」とあるのは「行政書士法第13条の19第1項第5号若しくは第6号又は第2項」と、同法第658条第1項及び第669条中「法務省令」とあるのは「総務省令」と、同法第668条第1項及び第669条中「第641条第1号から第3号まで」とあるのは「行政書士法第13条の19第1項第1号又は第2号」と、同法第670条第3項中「第939条第1項」とあるのは「行政書士法第13条の20の2第6項において準用する第939条第1項」と、同法第673条第1項中「第580条」とあるのは「行政書士法第13条の21第1項において準用する第580条第1項」と読み替えるものとする。
3 会社法第824条、第826条、第868条第1項、第870条(第13号に係る部分に限る。)、第871条本文、第872条(第4号に係る部分に限る。)、第873条本文、第875条、第876条、第904条及び第937条第1項(第3号ロに係る部分に限る。)の規定は行政書士法人の解散の命令について、同法第825条、第868条第1項、第870条(第2号に係る部分に限る。)、第871条、第872条(第1号及び第4号に係る部分に限る。)、第873条、第874条(第2号及び第3号に係る部分に限る。)、第875条、第876条、第905条及び第906条の規定はこの項において準用する同法第824条第1項の申立てがあつた場合における行政書士法人の財産の保全について、それぞれ準用する。この場合において、同法第937条第1項中「本店(第1号トに規定する場合であって当該決議によって第930条第2項各号に掲げる事項についての登記がされているときにあっては、本店及び当該登記に係る支店)」とあるのは、「主たる事務所及び従たる事務所」と読み替えるものとする。
4 会社法第828条第1項(第1号に係る部分に限る。)及び第2項(第1号に係る部分に限る。)、第834条(第1号に係る部分に限る。)、第835条第1項、第837条から第839条まで並びに第846条の規定は、行政書士法人の設立の無効の訴えについて準用する。
5 会社法第833条第2項、第834条(第21号に係る部分に限る。)、第835条第1項、第837条、第838条、第846条及び第937条第1項(第1号リに係る部分に限る。)の規定は、行政書士法人の解散の訴えについて準用する。この場合において、同項中「本店(第1号トに規定する場合であって当該決議によって第930条第2項各号に掲げる事項についての登記がされているときにあっては、本店及び当該登記に係る支店)」とあるのは、「主たる事務所及び従たる事務所」と読み替えるものとする。
6 行政書士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、行政書士法人を監督する都道府 県知事に対し、意見を求め又は調査を嘱託することができる。
7 前項に規定する都道府県知事は、同項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。
8 破産法(平成16年法律第75号)第16条の規定の適用については、行政書士法人は、合名会社とみなす。
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